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校長講話

202012.08

校長講話_NO.165「小説家、カフカ」

 10月27日から11月9日まで行われた読書週間の今年の標語は、「ラストページまで駆け抜けて」でした。昨年の標語、「おかえり、栞の場所で待ってるよ」もほのぼのとした良い標語でしたが、今年の標語は「ラストページ」という言葉に強い存在感があって、過去の標語と比べても群を抜いている様に私には思えます。 

 さて、今朝はラストページまで駆け抜けることの出来なかった私の読書体験をお話ししたいと思います。皆さんはカフカという小説家を知っていますか。1883年にかつてのチェコスロバキアの首都プラハに生まれ、1924年に病でなくなりました。世界的に有名な小説家で死後100年が経とうとしていますが、今もなお多くの人々にその作品は読まれ続けています。

 カフカの作品が多くの人に読まれるようになったのは彼の死後のことでした。画家ゴッホの絵が高く評価されるようになったのも彼が亡くなってからで、その点では似ていますね。カフカは働きながら小説を書きました。しかし、彼の作品は少数の人にしか評価されませんでした。カフカは病が進み、友人に遺言を残します。その中で、いくつかの短編を除き長編を含むすべての作品の原稿を燃やしてくれと頼んだのです。しかし、遺言を託された友人はカフカの願いに背き、自分の信念でカフカの作品を出版しようと決めました。私たちはその友人の決断のために、カフカの作品を今読むことが出来るのです。カフカは、死後自分の作品が世界中の人々に読まれることになるなどとは夢にも思わず、病と貧しさのなかでその生涯を閉じました。

 このエピソードからは様々なことを考えさせられます。一つ確実に言えることは、カフカは自分はそう思っていなかったかもしれないけれども、国境を越えて多くの人々の心に訴える作品を書いたという事実です。前置きがとても長くなってしまいました。今朝はラストのページまで辿り着けなかった私の読書体験をお話しようと思ったのですが、時間になってしまいました。続きは次回お話させて下さい。

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善光寺イルミネーション(2020年12月7日撮影)

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