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清泉メッセージ

201507.17

No64「予定運命の話」

20dasafda15.JPG今日は生物の発生についてお話します。発生の分野は中学3年と高校3年の生物で学習する単元となっています。教科書ではカエルの受精卵がオタマジャクシに変わるまでの様子が写真で掲載されているページというと、馴染みがあるでしょうか。発生とはひとつの細胞である受精卵が、細胞分裂を繰り返して、単独生活をおこなうまでの過程のことです。

カエルの発生過程を簡単にお話しますと、受精卵が2つの細胞へと分裂し、さらに、4つ8つと、どんどん細胞の数を増やす。そして、胞胚といわれる内側に空洞が生じる時期を経て、消化管のもとが形成される原腸胚、脳や脊髄のもとが形成される神経胚となり、尾が伸びてオタマジャクシとなります。

さて、この発生過程において、細胞ひとつひとつが、将来、体のどの部分の、どんな特徴をもった細胞になるのかが決まってきます。これを細胞の予定運命といいます。

予定運命は発生過程の特定の時期に決定するのですが、それがいつなのかは細胞の存在する場所によって変わります。例えば、神経になるのか、表皮(皮膚)になるのかは原腸胚から神経胚の間で決定します。細胞の予定運命は一度決定されると、基本的には変更不可能となります。また、細胞の予定運命がどのように決定しているのかというと、その細胞の周囲にある接するまわりの細胞の影響によって決定することになります。

もしこの細胞における予定運命の決定がおこなわれなかったらどうなるか、それはいつまで待ってもオタマジャクシの形とはならず、細胞のかたまりのままで存在することになります。

私にはこのような細胞の営みが、人間の生活に重なってみえます。私は昔から考古学的な発掘にも関わってみたいという思いも持っていました。今は、もうひとつの思いであった教員となって働いています。私の年齢からすると基本的には予定運命は変更不可能です。だから、自分の選択した道が正しかったと思えるように、毎日を取り組み、生きています。

中学から高校、そして大学ぐらいまでの時間はとても貴重な時間です。今、みなさんにはすべての将来の可能性が開けています。4月からの新しい友達や先生との出会い、先日おこなわれた清泉祭、そして来週おこなわれる定期考査。自分の周りにある出会いや出来事から多くのものを吸収し、自分を形作っていってほしいと願います。

(6月25日放送朝礼より。写真と本文とは関係がありません。)

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