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清泉メッセージ

201312.09

No23「光は暗闇の中で輝いている」

23.JPG12月になると思いだす光景があります。それはドイツのクリスマスの光景です。私は、長野清泉で働き始める前に、5年ほどドイツで生活していましたが、その光景を思いだすのです。長野でも特に北信がそうでしょうが、冬になると、どんよりとした空模様が続きます。もちろん気持ちのよい、澄みわたった青空の日もありますが、重苦しい鉛色の空が広がることもしばしばです。ドイツが位置する中央ヨーロッパも、冬は北信と同じく実に重苦しい鉛色の空の日が多いのです。そんな天気が永遠に続くと思われる程の毎日。それに実に寒い!長くて寒い冬です。

そのような冬の中で、12月になると待降節、アドヴェントに入る。そうすると街中が一変します。あちこちでクリスマスに向けての準備に入り、実際に街中が色づくのです。クリスマスの飾りつけは、日本のようにゴテゴテとしていませんが、商店街でも美しい飾りが見られます。それぞれの家庭においても、個性豊かに彩るのです。そして何と言っても街を歩き、目を引くのは、ヴァイナハテン・マルクト(訳すと「クリスマス市」、英語で言うと、クリスマス・マーケット)です。ドイツの街の中心には必ず教会があり、教会の前にはご多分にもれず大きな広場が広がっている。その広場に天から降って来たように、マルクト(市場)が…。クリスマス用品を売るテント製の店です。ツリーの木が売られたり、クリスマスの物語を題材にした人形が売られたり…。本当に心が明るくなり、和んできます。そして私が特に楽しみにしていたのが、グリューワインという温かいワイン。日本の常識からは考えられませんが、言わば熱燗(あつかん)のワインです。独特な香辛料が入った赤ワインが、手頃なお値段で手に入るのです(せいぜい日本円にすると150円ほどでしょうか)。今は高校2年になった娘は、その時、まだベビーベッドにおりましたが、彼女にはプレッチェルンという塩味のパンをあてがい、両親はグリューワインで、あったまる。私のドイツの忘れられない一場面です。

冬の寒さの中の温かさ、暗さの中での明るさ、そうです、闇の中での光。それがドイツのクリスマスの光景です。その光景を思いめぐらす時に、心に浮かんでくるのは、ヨハネによる福音書の冒頭の聖句です。
<光は暗闇の中で輝いている。>(1章5節)
<その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らすのである。 >(1章9節)
もちろんこの「暗闇の中で輝いている」「光」とは、イエス・キリストのことです。その光であるキリストこそが「まことの光」であり、「世に来てすべての人を照らす」というのです。

ここで思い起こすのは、ある中1暁の生徒が、5月の感謝祭・聖母奉献式で次のような感想を綴ってくれたことです。 <今日まで心の中にあった黒い固まりがマリア様・天の父の息吹でふき飛び、心が洗われたような気がします。> 私はこの「黒い固まり」という表現にびっくりしてしまいました。この「黒い固まり」とは、自分の心の中にある「暗い部分」、醜い部分だと思われます。自分の普段の姿を見つめ、自分と向き合い、自分の「暗い部分」をこの生徒は問題にしています。ところでイエス・キリストが「世に来た」というのは、私たち人間の「黒い固まり」をご自身が担われるためでありました。その姿が、十字架で苦しむ姿なのだというのが、聖書が語るメッセージです。だからヨハネによる福音書の冒頭では、「光や暗闇の中で輝いている」と語られています。実に清泉の教育とは、一人ひとりの中にある「黒い固まり」を見据えさせ、そこからの希望の光を指し示すのだと思います。

私たちの中学1年暁の星組の「暁の星」の名前は、聖母マリア様にちなんでいます。マリア様が、私たちを照らす「あかつきの星」だと言うのです。明け方にひと際明るく見える「明けの明星」、金星のように、そして夕方に見える「宵の明星」のように、私たちを照らす光がマリア様であるという。

その暁の星、マリア様がみごもったイエス・キリストという「まことの光」。どんな「闇」の中でも「光」が輝いている。その光に照らされ、希望を置き、清泉でこれからも過ごしていきましょう。その思いを今、新たにさせられています。「光は暗闇の中に輝いている」。それが今私たちに与えられているクリスマスのメッセージです。(「中学1学年だより」より転載)

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