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清泉メッセージ

201308.31

No13「イチロー選手から学ぶこと」

IMG_2288.JPG大リーグ、ヤンキースのイチロー選手が8月21日に日米通算4000本安打という偉業を達成しましたね。こうした世界の大舞台で、彼が活躍し続けられるのはなぜだと思いますか?イチロー選手は、強いプレッシャーの中でも常に結果を出し続ける技術の高さと、精神的な強さを持っています。その精神的な強さは、徹底的に技術を磨くことによって鍛えられているのです。

ある本の中でイチロー選手は、「自分は天才ではない」と言っています。なぜなら、自分のやっていることを全て説明できるからだと。これは一見謙虚なようでいて、すごく自信にあふれた言葉だと思います。バッティングの狙いも、結果もプレーの一つひとつも説明できる。特に、うまくいかなかったときに、その理由がわかるということが、実はとても大事なのです。

あるとき、セカンドゴロを打った。その瞬間に自分はバッティングの一番大切なものをつかんだと本に書いてあります。セカンドゴロはもちろんアウトになったのですが、一塁に走るまでに、それがどうしてだめだったのか、何が狂っていたのかということがわかったということです。ヒットから学ぶことよりも、うまくいかなかった打席から学ぶことのほうが大きいのだと。なぜうまくいかなかったのかがわかれば、それでステップアップできるわけです。だめな理由がわかるということが、進歩するためには大切なのです。何となくやっていて結果が出る人もいるかもしれませんが、そういう人は不調になったときに弱いのです。調子が悪くなったときこそ、自分がどうすればいいのかという、自分が戻るべき「基本」を持っている人が強いといえます。バットを持つ手の高さとか、踏み出す足の幅とか、イチロー選手は自分のチェックポイントをいくつか持っていて、自分のバッティングが狂ってきたときに、そこをチェックすれば基本に戻ることができるのです。

もう一つは、練習量が並外れて多いことです。だから「自分は天才ではない」という言葉の裏には、自分は限界まで練習してきたという自信があったのです。その自信の源は子どものころにあります。毎日、イチロー選手が学校から家に帰ると、お父さんが仕事を早く切り上げて待っていて、野球をおしえてもらいました。たとえば、ものすごく近い距離から投げた球を、イチロー選手が思いきり打つ練習をしましたが、一度もお父さんに当てたことがないほど、自由にバットをコントロールして打つことができたそうです。そして毎晩夕食後には、バッティングセンターに行き、小学生なのに、そこのバッティングセンターではあり得ない速さの球をセッティングしてもらって打っていたという逸話もあります。

また、イチロー選手は、「プレッシャーから逃れる方法などありません」と言っています。プレッシャーを受け止めて、打ち勝っていくしかないと。そのために、イチロー選手は一番早く球場に入って、準備体操をし、筋肉を伸ばします。だから怪我がものすごく少ないのです。試合後も同じことをやって、かならずスパイクやグラブをきれいに磨きます。それをやることによって、少年時代の野球道具を大切にした気持ちを忘れないようにしているのだそうです。こうして、毎回同じことをくり返しやることで、毎回同じようなリズムを保つ。それもプレッシャーを減らしていく一つの方法です。自分にプレッシャーがかかった状態でも頼れる技術を持っている人間は、精神的に強く、プレッシャーをはねのけられます。イチロー選手は、打撃も走塁も守備も自由なプレーができますが、それは技術が身についているからこそできることです。

この技術というのを、学校に置き換えてみると、勉強が確実にできることが技術です。できないよりもできるほうが勉強においても自由度が高くなります。技術があれば、個性的なこともできる。でも技術が身についていなければ個性的なことをするのはむずかしい。ですからみなさんも、技術を大切にしてください。個性的な人間、創造的な仕事というのは、確実な技術によって可能になるもの。「技」を身につけることによって実現することができるものなのです。例えば、きちんと鉛筆が持てなければ、きれいな字は書けません。実は今、大学生の半分以上はペンを正しく持てなくて、ノートがうまくとれない、早く書くことができないそうです。これは小学校のころまでに、きちんとマスターしておかなければならないことです。早く正確に書ける技術があれば、それだけでいろいろな仕事に役立ちます。イチロー選手が毎日技術を磨いてきたように、みなさんも、基本技術をきちんと習得してほしいと思います。

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