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校長講話

201509.28

校長講話_32「時には宿題よりも」

IMG_6582.JPG 今日は、幾つかの話をしたいと思います。うまくまとまるかわかりませんが、お聞き下さい。

 6月の放送朝礼で、「宿題よりも大切なこともある」というお話をしました。覚えているでしょうか。時には宿題を後回しにしても、しなければならない大切なこともある、ということです。その時の朝礼では、国会で「安全保障関連法案」がどのように審議されているか、また憲法がどのように扱われているかを、新聞を読んで、是非理解してほしい、ということをお話ししました。それは皆さんの将来にも深く関わることだということも話しました。

 これから、お話しすることは、私、個人の感想であり、思いですので、それを皆さんに押し付けるつもりはありません。皆さんは、そういう風に考える人もいるんだ、という気持ちでお聞きください。最も大切なことは、皆さん、一人一人が、「私はこう考える。」という、皆さんなりの考え、思いを持つことです。

 今月の19日に、6月の放送朝礼で話題にした「安全保障関連法」(いわゆる安保関連法)が、国会をデモ隊が取り巻く中、成立しました。戦後70年の中で最も大きな出来事とも言える今回の一連の出来事の中で、私が感じたことの内、二つのことを今日はお話ししたいと思います。

 一つ目は、「憲法」についてです。憲法を支えとする国のあり方を立憲主義と言います。私の理解では、立憲主義とは次のようなものです。日本の国のあり方を最終的に決定するのは私達国民です。それを国民主権と言います。現在、私たちの国は日本の政府が政治を行っていますが、それは一つの約束に基づいています。それは主権者である私たちが、この約束を守ってくれという条件で、政府に国の政治を行うことを委ねています。その約束とは、「憲法を必ず守って政治を行う」と言うことです。その約束を守っていてくれれば、私達国民はあなたたちに政治をしてもらってもいいですよ、憲法を守っていれば、私たちは安心ですので、ということです。つまり、憲法を守ることは、国の政治に関わる人が守るべき義務です。ところが安倍内閣は、自分たちが守らなければならない憲法を、主権者である国民の多くが反対しているにも関わらず、自分たちの都合の良いように解釈してしまった。私としては、これは、大きな約束違反ではないかと思うのです。「憲法をそのように扱うのであれば、私たちはもう安心してあなたたちに政治は任せられません。」と思うのは特別な考え方でなく、当たり前のことだと私は思います。

 二つ目はSEALDs(シールズ)についてです。シールズについては皆さんもニュースで度々見たことと思います。シールズの意味は「自由で民主的な日本を守るための、学生による緊急アクション」です。代表は明治学院大学の奥田愛基(あき)さんです。15日参議院特別委員会の公聴会での彼の言葉を紹介します。彼は議員の人たちに次のように語りかけました。「自分の信じる正しさに向かい、勇気を出して、孤独に思考し、判断し、行動して下さい。」周りに流されることなく、自分の頭で良く考え、自分の信念に基づいて行動して下さい、ということです。これだけの大きな出来事にも関わらず、自民党から、「私はこのような自民党であれば、党を離れる。」という人が一人もいなかった。今までであれは、「自分の信念に照らして今回の法案には賛成できない」という議員が何人かはいたものです。今回はそういう議員が一人もいない。そのような状況で、奥田さんは議員に語りかけたのだと思います。

 少し、話はそれますが、奥田さんは明治学院大学の学生です。私はそのことにも感じるところがありました。「なるほど、明治学院の学生なのか。」と。私は明治学院という学校を立派な学校だと思っています。プロテスタントのミッションスクールです。1988年、皆さんが生まれる前のことですが、昭和天皇が重体になりました。その時に、村祭りや各地のイベントの多くが自粛で、取りやめになりました。ほとんどの大学の学園祭も取りやめとなりました。そうした中で、明治学院大学だけは、建学の精神、教育方針に基づいて学園祭を実施しました。先程の、奥田さんの言葉、「自分の信じる正しさに向かい、勇気を出して、孤独に思考し、判断し、行動して下さい。」を大学として、実行したと言えます。以後も、明治学院はその姿勢を保っています。私が、「ああ、奥田さんは明治学院の学生なのか。」と思ったのは、今述べたことからです。

 私は、この長野清泉女学院も、自分の信じる正しさに向かう学校でありたいと思っています。また、長野清泉女学院の生徒たちもそのようであってほしいな、と思います。周りに流されずに、何が大切で、何を大事にしなければならないかを、自分で判断できる生徒であってほしいと思います。

 最後に先程読んで頂いた、聖書の箇所についてです。もう一度お読みします。一人の女が、極めて高価な香油の入った石膏の壺を持って近寄り、食事の席に着いておられるイエスの頭に香油を注ぎかけた。弟子たちはこれを見て、憤慨して言った。「なぜ、こんな無駄使いをするのか。高く売って、貧しい人々に施すことができたのに。」イエスはこれを知って言われた。「なぜ、この人を困らせるのか。わたしに良いことをしてくれたのだ。

 この女も、神の前で何を大事にすべきかを一人で判断し、実行しています。そしてイエス様はこの女を守ります。

 さて、これから、年度の後半に入ります。皆さんには、6月の放送朝礼でお話ししたことをもう一度、言いたいと思います。学生ですから、勉強をすることは当たり前のことですし、大事なことです。しかし、時には宿題よりも大切なことがあります。その一つは、社会の動きに目を向けることです。是非、新聞を読んで、今、日本がどのような状態にあるのかを知って下さい。そして、そのことについて、自分の頭でしっかりと考えて下さい。

(9月26日、高校前期終業式・後期始業式より)

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